小さな田舎町で日々淡々と真面目に暮らす兄と東京で自由奔放な生活を送るカメラマンの弟。ふとしたきっかけで中のよかったふたりの関係が崩れてしまいます。 ふたりとそしてふたりを取り巻く人々のそれぞれの心の揺れ。 その揺れを象徴する渓谷の吊り橋。 心の奥にある感情に気付かないふりをしながら、自分自身の均衡を保って日々を過ごしている。そんな均衡もほんの小さな出来事でバランスを崩していく。それは特別な事ではなく、誰にでも起こりうること。吊り橋の向こう側へ渡るように。 兄が弟を愛しながらも、心の奥底には自由な弟に対する嫉妬や憎悪の気持ちを隠しもっていたこと。そんな感情をさらけだした兄の言葉を聞くのはすごくつらかった。隠された自分の心と向き合うことはとてもつらい作業だと思う。 ラスト。7年の歳月を経て。道路の反対側から叫ぶ、兄との関係を取り戻そうとする弟と、バスに乗ろうとして弟の声に気付き、わずかに微笑む兄。兄がこのままバスに乗って行ってしまったのかどうかはわからない。けれど、私は彼はこの町とは違うどこかへ、バスに乗って行ったのだと思う。これからは自分の本当の人生を始めるために。そう願います。 オダギリジョーが弟役、香川照之が兄役でしたが、私は圧倒的に兄役に引き込まれてしまい、完全に兄が主役の映画という印象でした。結局のところ真実はどちらなのか、本当のことを語っているのか、巧妙な嘘なのか、人の気持ちは簡単には計り知れない、心の深さを巧く描いているように感じました。 「ぼくを葬る」でもカメラマンが主人公でしたが、カメラマンというのは自由な人生を象徴する職業のようなイメージがあるのでしょうか。 バックに流れる音楽、挿入歌のカリフラワーズの曲も良かった。カリフラワーズ、聴いてみたいです。
by niji-no-tane
| 2007-04-13 15:13
| 映画
|
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