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隠された記憶

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ミヒャエル・ハネケ監督「隠された記憶」。
地位も名声も幸せな家庭も手に入れた男に、その生活を脅かすような出来事が起こり始める。
殺人を予感させるような、子供が描いたような拙い絵にくるまれた、不審なビデオテープ。
男には、幼い頃についた嘘でひとりの人生を狂わせたという「疚しさ」がずっと心の奥底にあり、その「疚しさ」がこの映画のキーポイントになっているのではないかと思う。
結局最後まで観て、気になる箇所を見返してみても、私には犯人はわからなかった。彼を追い詰めたのは彼自身なのでは?とも思うが、それではビデオテープは誰から?
犯人から送られたビデオの映像が時折入ることで、進行中の現在なのか過去の映像なのか、彼の記憶の中の場面なのか、いろいろなことが曖昧になってくる。
この映画を観て私が一番強く感じたのは、見えている現実より、いかに見えていないことのほうが多いか、ということ。この映画では事件が起こってしまうけれど、平凡な日常や自分自身の心の中のことでも、きっとわかっていないことのほうがはるかに多いのだろう。
by niji-no-tane | 2007-10-30 02:12 | 映画
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